伝説のスピーカーケーブル

ウエスタン・エレクトリック

この名前を聞いて郷愁を感じた方は、かなり年季の入った筋金入りのオーディオマニアです。

私も名前だけは聞いたことがあります。

アメリカにかつて存在した電気機器メーカーで、1881年から1995年までアメリカ最大手の電話会社であるAT&Tの製造部門として存在し、主に電話機などを作っていました。ベルデンより古い会社です。数々の技術的発明や、産業の管理手法の開発でも知られます。

映画館向けにウエスタン・エレクトリック(以下WEと呼称します)が1920~30年台にかけて設計・製造した音響機器は、耐久性と音質のよさからオーディオマニアなどのコレクションの対象となっているそうです。その中には、大規模な映画館用の、人の背丈以上もあるような巨大なスピーカーもあり、同じWE製の比較的低出力の真空管アンプで駆動されます。

このアンプはとてもタフで、映画館などで今でも現役で使用されているそうです。それが放出されると、200万円だの、状態の良いものだと、それ以上の値段で取引されている代物だそうです。勿論、音が素晴らしく良いから、その値段が付くのですが、70年以上も前の骨董品のようなプロ用アンプに、一般のオーディオメーカーのどれを持って来ても、到底敵わないと言います。
プロ用機材というのは物凄いものなんだなぁと思います。

伝説のスピ-カーケーブル WE16GA

画像


これぞ本物中の本物!
既に製造されておらず、本国のアメリカにすら、在庫が無くなってしまっているほどの名ケーブル中の名ケーブルです。世界中にある在庫が尽きたらそれで終わりという貴重品です。それだけ品薄だということです。

ベルデンの8473を購入してからしばらく後に購入したものです。
プロケーブルに在庫がなく、あちらこちら探してやっと長さ5mのものを4本手に入れました。
芯線の太さは16AWGで、推奨の長さはは3~4mなのですが、どうしても使ってみたかったというのが実情です。
無理矢理5mで使うことにしました。

流行の極太ケーブルからすると遥かに細いです。しかし、最近の低能率スピーカーを駆動するには十分の太さなのだそうです。あまりにも太過ぎる、見てくれだけの高額なケーブルは、音をおかしくする、とプロケーブルは言っています。プロが使うものですから、見てくれではなくて、確かな品質が求められます。技術的な裏づけがあって、その太さになったということだと思います。

確かにベルデンの8460で聞いた時の印象は強烈でした。
太いケーブルを使っていた頃は、すりガラス越しに向こうを見ているようで、何かモヤモヤとした音だったのを思い出します。

ベルデンのスピーカーケーブルは、最上質のアナログレコードの音がすると言われます。
それに対してこのWE16GAは無色透明、真のフラットだと感じます。雑味のない非常に澄んだ音がします。部屋に居ながらにして生演奏を味わえる、と言えるほどケーブルの存在を感じさせません。このくらいレベルの高いものを使ってしまったら、オーディオ製品などバカバカしくて使う気になれません。癖があり過ぎて、せっかくの音楽が台無しになってしまいます。

「フラットな音」について、少し考えてみました。
電気回路のことなどずぶの素人ですが、専門的な言葉を借りると、電気的に色付けしないこと、正確には、周波数特性的にピークを持たない音が「フラットな音」だそうです。録音された音そのものに近い音だということです。音に個性が出るのは、録音された音の周波数特性と比べて、どこかの帯域にピークがあるからだと言えそうです。口で言うのは簡単ですが、周波数特性的にピークを持たない音を作り出すのは、技術的にも相当大変なことのようです。

フラットな音は、味も素っ気もなくて面白味のない音だと、さも知った風なことを言う人がいますが、大きな間違いです。フラットな音とは限りなく生演奏に近い音です。生演奏ほど個性的なものはありませんので、これは凄いことだと合点がいくはずです。

オーディオ趣味を始めた頃は、レコード至上主義でした。
生演奏を聞いたのは、中学生の頃に1回だけ。レコードの音はあくまでも再生された音なのだから生の音とは関係ないだろうと思っていたのです。

その後しばらくして、やはり一度生演奏に触れておく必要があるのではないかと考え、演奏会に足を運びました。生演奏は思いの外エキサイティングでした。
帰宅後改めて自分のシステムを聞いてみましたが、そうかけ離れた音ではなかったので、ホッとしたのを思い出します。それ以後は、足繁く演奏会に通ったものです。

自分の求める音がハッキリしてきました。

オーディオにおける音の基準は生の演奏です。
生演奏を録音したものを再生するのですから、当たり前といえば当たり前の話です。
オーディオというのは、単に再生された音を聞くのではなく、録音された演奏そのものを聞くことだ、と思うようになりました。

もし、生の演奏を聞いたこともないような人達の集まったメーカーが、数値的なことだけでオーディオを語るとしたら・・・そんな人達が作ったオーディオ装置から、音楽は聞こえるのでしょうか?
音楽はスペックだけで再現できるほど単純なものではありません。

「生の音が最もエキサイティング」

これが私のオーディオのテーマとなりました。

良い音とは何か?

あるオーディオ愛好者のブログに載っていたコメントです。
「良い音とは、いかに製作者の意図に忠実な音か、録音時ならばいかに生音に近いか、即ち、いかにフラットな音かということです。(中略)着色された高級オーディオ等の音というのは製作者の意図を超えたものです。それは良い音とは異なるものです。云々」

個人的には、これが全てだと思います。

もう一つ、あるコメントの中の一言です。
「音楽に好みはあっても、音に好みを加えるのは間違っている。」

けだし名言だと思います。

良い音とは、スペック云々ではなくてそれらしい音である、と私は思います。

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック